脱ぎ散らかした服をまとめて洗濯機に放り込み背伸びをする。くうっと息を吐き出し腰を曲げた。すると少し気だるく腰が痛んだ。思わず眉をしかめる。気分を変えようと小窓をカラカラと開け、別にすがすがしくもない風を洗面所に入れる。風はあまり吹いてくれない。こんなもんじゃ、今の私のメランコリーな気分は晴れない。

さっきまで寝ていた寝室へと戻り、寝ている弟を起こさないようにそっと片付けを始める。



「...かたかたうるせぇ」

自分では静かに片付けていたつもりだったが、どうやらうるさかったようだ。弟が起きてしまった。

「ごめん」
「おい、俺の服どこだよ」
「洗濯機に入れたよ。昼間に洗濯するから」
「は?気ィきかねぇ女だな。そんなら新しい服持ってこいよ」
「はいはい。なに持ってくればいい?」
「着られればなんでもいいわ。あーでもふざけた服持ってきたら殺すかんな」
「コラ。すぐそうやって殺すとか言わない」
「はァ?文句つけてんじゃねぇよ」
「なんか食べる?」
「いらねぇ。さみぃからさっさと服取ってこい」
「うん」

タバコとお酒臭い彼の部屋に指で鼻をつまみながら入る。クローゼットの中からチンピラヤクザが着るような龍だの虎だのが背中に大きくプリントされた服やわけのわからない模様が散りばめられているものがわんさかとある。その中から比較的まともなものを(とは言ってもどれもこれも五十歩百歩だが)選び、あとはベルトと、穴がたくさん開いたズボンを取る。パンツと靴下も忘れずに。なんとなく匂いを嗅いでみた。服は無臭だった。

「持ってきたぞ。服」
「おっせぇよトロいなぁ。かわいい弟が風邪ひいたらどうしてくれんだよ」
「お前はそんなヤワじゃないだろ...」

ほら、さっさと着ろよ。と、服を渡す。着替えまで覗くわけにはいかないので、部屋を出ようとした。

「なんだよどっか行くのか」
「着替えるだろ?だから出てくよ」
「もういいかげん見慣れてるだろ?てか、別に今から裸になってカラダのコミュニケーションしてもいいんだぜェ~??」
「ッ...!や、やめろ、よ、」
「いいじゃねぇか別に。昨日だってさんざんヤってたんだし────あでっ!テメェ!なにしやがる!!」
「きっ!きのうのもっ!酒に酔った、お前が無理矢理...!」
「テメェだってヨがってただろうが!あーくっそ痛てぇ!お前のせいで一瞬腕が動かなくなってるわ。どーにかしろよ」
「動くだろ!!」

まだなにか言おうとしていた弟の言葉を遮り部屋を出てドアを閉めた。すると閉めたと同時にパンツとズボンだけを穿いた弟に「無視してんじゃねぇぞクソが!!!」と腹に手を回され部屋にまた引きずり込まれた。

「ぐっ...や、やめろ、!」
「雲子ちゃぁ~ん、な?俺今腕使えないの。言ったよな?」
「つ、つかえてるじゃ、」
「腕使えないの。でよ、俺今上半身裸なんだけど?」

弟は少し腕の力を緩めた。が、ほっとしたのもつかの間で、弟は仰向けに寝転がり、私を彼の股間の上へ乗せた。そしてがっちりと私の腰を掴む。

「なっ!なにやってんだよ!!!」
「あ~ン?別に騎乗位しようと思ってるわけじゃねぇよ」
「あたりまえだろ!!ばかっ!早く離せ!!!」
「俺今腕使えないの。だから服着れないの。俺の言いたいことわかる?」
「も、もしかして......き、着させろってこと...?」
「あったり~!正解者には俺のキッスプレゼント~」

弟は起き上がると今度は私の脇の下に手を入れて固定した後、ちゅちゅちゅちゅちゅとキスの大嵐を私の顔に落としてきた。

「やめろ...」
「ン~?口にして欲しいの?」
「やめろって言ってるんだ!」
「あ~、やっぱり雲子ちゃんは見上げるのもいいけど上から見下ろすのが一番かわいく見えるわ~。彼氏できたら教えてあげな?ブスな私の唯一かわいく見える見え方だよ~って」

言っておくが私の顔はお前の顔と瓜二つだからな!なんてそんな強気な言葉は言えないからごっくんと飲み込む。

「なに唾飲んでんの?喉乾いてんなら唾よりも100億倍身体に良いもの飲ませてあげるけど」
「どうせ酒だろ?私は絶対飲まないからな」
「ブッブーはずれー。正解は精液でした~」
「ばか!!」
「おいおいちょっとしたジョークだろ~?そんな顔すんなよ~って」
「な、なぁ、ちょっと待て。わ、私の下で硬くなってるのはなに...?」
「訊かなくてもわかるでしょ~?チンポだよチ・ン・ポ♡ほらほらァ、昨日みたいにおしゃぶりしちゃいなーーって」
「いいかげんにしろ!!!!!!」

ガツンと頬に一撃グーで入れて、部屋から急いで逃げ出した。ドアの向こうで阿含の────弟の「テメェ!!!!着替えたら覚えてろよ!」という恐ろしい怒号が聞こえてきたがそんなのに毎回ビビっているようでは、この弟と一緒には暮らせない。



バタバタと大きな音を立てて弟は部屋から出てきた。そして何も言わず、私の目の前で思いっきり振りかぶってきた。殴られる、とは思ったが、痛いだけだしこの顔に大痣が付くだけだし別にいいか。この一発を受ければこの弟の機嫌は良くなるのだ。だから自分はここだけ耐えればいい。そう思うものの、やっぱり怖いのでせめて目だけは閉じておこう。と、目を閉じた。

だがしかし、3秒経っても6秒経っても頬に衝撃はこなかった。

「...?」

おそるおそる片目を開けると、阿含がつまらなそうな、なにか物足りなそうな、いや違う。なにか少し嫌そうな寂しそうな────適切な表現が思い浮かばないが、そんなような顔で「...雲子ちゃん、なんでガードしないの?」と訊いてきた。

「ここで耐えておけばお前の機嫌も直るだろ?」
「だからって自分が殴られようっていう受け身でいたらだめじゃない?」
「どうしようが私の自由だ。それにお前昔はしょっちゅう私のことボカスカ殴ってただろうが」
「それは昔でしょ!!!む!か!し!!!今なんて雲子ちゃんに暴力ぜーーーんぜん振るわないじゃん!!!」
「だけど無理矢理[[rb:犯 > ヤ]]ってくるよな」
「全部酒のせいだから許して♡」
「...お前にやられたことは許すしかないだろ」
「ふぅん。雲子ちゃんわかってるねぇ」
「伊達にお前の姉貴十七年やってないからな」

阿含は機嫌が良くなったらしく、私のおでこにたくさんキスを落としてきた。

「おいやめろ...」
「なぁに照れてんの」
「照れてない」

最近阿含は良く私にキスしてくる。遊びのキスから深いキスまで。そしていろんな箇所に。口でも寂しいんだろうか。煙草をばんばか吸ってるくせに。とにかくたくさんキスをしてくる。

キスにも飽きたのだろう、阿含は私の頬を彼の大きい手で包み込みもにもにむにむに弄り始めた。

「...おい」
「うっわすっげーもちもち。やっべーー」
「他の人に触らせてもらえ」
「他の人って誰がいんの?」
「チームメイトとか...お前と仲の良い女の人とか」
「はぁ?ばっかじゃねーの?あんなゴリゴリなヤツらのほっぺた触ったって気持ち良くねーし、女なんてきったねぇ化粧が手に付くし触りたくねぇ。こっちから願い下げだわ」
「そ、そういうことを言うなよ」
「だってホントのことだもーん」

そう言ってまたむにむにと頬をつまんだり引っ張ったり離したりして遊び始めた。ちょっと痛くなってきた。

「もういいだろ?いたい」
「んー」
「なぁ」
「んーー」

全然止めてくれる気配がない。諦めて阿含が飽きるまでずっとこのままだ。どうせすぐ終わる。少し私が耐えていればいいことなんだ。

「雲子ちゃん、目閉じて」

ほらやっぱり。もう飽きてまた次のことをなにかしようとしている。

「なんで」
「いいからいいから!」

残念だけど私は弟に逆らえない。ので結局目を閉じてしまう。阿含は私の肩に手を置いた。少しびくっと肩が震えてしまった。「なに雲子ちゃん怖いの?」と、訊いてきた。「怖いわけじゃない。少し驚いただけだ」と答えた。「ふぅん」と少しつまらなそうに息を吐いた。

しばらく私は目を閉じていた。だけど阿含はなにもしてこない。首をちょこっと傾げてみる。すると今度は阿含が驚いたようで、少し肩に置かれた手に力が入った。

「...おい雲子、動くな」
「すまない。ところでいつ私は解放されるんだ?」
「じゃあ10数えて。あ、ゼロまで」
「...?じゅうきゅうはちななってカウントしてけばいいのか?」
「うんそう」
「...じゅう、きゅう、はち、なな、ろく、」
「もう少しゆっくり」
「ごー、よーん、さーん、にー、」
「イチゼロもっとゆっくりはっきり言って」
「いーーーーーーーーち、ぜーーーーーーーー」



と口と目を開けた瞬間、阿含は思いっ切り私の口の中に舌を入れてきた。そして彼の舌は私の口内で遊び始めた。舌を追いかけて絡めとって柔らかく噛みつき、かなりの唾液を私に送り込んできた。息がしづらくなってきて、拳を作って阿含の厚い胸板を力なくドンドン!と叩くが、効果はいまひとつのようで、それどころか阿含の大きな手で腕を一つにまとめられてしまった。
さらに激しくガツガツ舌を巻き取られてだんだん頭がぼーっと気持ち良くなってきてしまった。立っている足に力が入らない。腰が抜けている。へにゃへにゃと骨が全てクラゲになってしまったみたいにぺたんと床に座り込んでしまった。

「ッは、!なんだよもう限界か!?荒い息しちまってよォ!」

何も答えられない。口からははふはふという息と、だらしなくよだれがてろりてろりと垂れてしまっている。

阿含もしゃがんで「あらら、オイシソーな顔してんじゃん」と言ってきた。

「ベッドに運んでやろうか?一日中ベッドで俺と過ごすっていうのも悪くないんじゃな~い??」
「...」
「なになに?無言は肯定だよ?それじゃあかわいい弟と一緒に仲良くベッドの上で遊ぼうぜェ~?」

阿含に腕を掴まれて無理矢理立ち上がらせられる。腰がまだふらふらするが、立ち上がったことによってしっかり意識が戻った。少しまだ唇に甘いしびれはあるけれど。

「じゃ、いこうぜ」

足の指に力をぐっと入れて一歩も動かないようにする。

「あれ?動かね────」
「いいかげんにしろ!!!!!!!!!」

本日二度目のグーパンチを、今度はみぞおちにぶちかましてやった。















「...おい雲子!金よこせ!」

みぞおちに綺麗にストレートが入った私の弟こと阿含は、しばらくぶっ倒れていたようだが、やっと起き上がり大変な剣幕で怒鳴り突っかかってきた。

「どこ行くんだ?あと金なら別に訊かなくたって冷蔵庫の横の封筒に入ってるぞ」

洗濯機に洗剤を入れてスイッチを押す。軽快な音楽が鳴った。モーツァルトのピアノソナタハ長調だ。

阿含はこの音が好きらしく、それを聴いたら少し声の調子を落とした。

「はぁ?決まってんだろ。女連れてホテル」
「ふーん。部活は?」
「行くわけねぇだろ」
「...問題、起こすなよ。あと女の子に暴力ふるっちゃだめだぞ」
「わぁってるよ!うっぜぇなぁ。あ、今日、夕飯いらねぇ。てか帰んねぇ。明日の夜に多分帰る。鍵開けとけ」
「わかった。いってらっしゃい」
「なーに寂しそうな顔してんだよ。弟が他の女に取られて悲しいのかぁ~?」
「寂しそうな顔してるか?いつもと同じような顔のままだと思うが」
「...ばぁか。ジョークも通じねえの?かわいくねー女。そんなんじゃ一生男できねーぞ」
「別にいい。ほら、早くいってらっしゃい」
「へーへ。じゃあな、」

おねぇちゃん

眉間に皺は今更もうできない。
口で器用にピアノソナタハ長調を吹きながら御機嫌に出ていく弟。やっぱりモーツァルトはすごいな。いや口笛でこれを吹ける阿含もすごいのか。少し苦笑い。
部活があるということを知っている上で送り出す姉も姉だな。部活の人たちと監督にあとで謝っておかなきゃ。


天才な弟の尻拭いは凡人の姉の仕事。


母親に昔言われた。
酔っ払っていて、本人は覚えていないようだが私にはその言葉が深く刻まれてしまったようだ。
ほら、今だってこうやって頭を下げることしか考えてないし。

私の生活なんて、輪郭の無い、無意味なものだろう。
私がいなくてもなんにも変わらなかっただろう。
阿含の尻拭いがいなかっただけ。
ただそれだけ。






阿含が出て行ってからしばらくぼんやりと、ソファーの上でクッションを抱き抱え私しか映っていないテレビの黒い画面を見つめていた。
時計の針が動く音、冷蔵庫が氷を作る音、何かはわからないがごーという機械の音。私は阿含がいる時には聞こえないこの静かな生活音が大好きだ。

こんなことしてるなら勉強したら?と、父親や母親がいたら言われそうだ。
勉強しない阿含には言わないくせに!
なんべんもなんべんも言いたくなったのを我慢していた。
だけどそんなこと阿含に言ったって無駄なのだ。
あの子は勉強しなくてもできてしまうから。
なんでも完璧にこなしてしまう天才な弟を何度羨ましく、また恨めしく思っただろう。
いつかはこんなふうになれるのかな?なんて。
そんなの、初めから無理だった。
それについ最近になってようやく気づいた私はやっぱり愚か者だ。



そしてしばらくすると、ごーという音が鳴り止み、また乾いた電子音が鳴り響いた。あぁ、そうか。あの音は洗濯機が回っている音だったのか。
ひとりで納得し、ははと笑うと『そんなのもわかんなかったの?うーんーこーちゃん!』という見下した笑顔が浮かんだ。...たしかに、毎日聞いてるはずのこの音を忘れるのは愚かだったかもしれない。そのうち毎日見ている阿含のことを忘れる日が来るのだろうか?わからないけどありえないだろうな。



  ◈  ◇  ◈



昼の時刻を報せる、名のわからない曲が流れる。
洗濯物を干す作業を終え一休みしていた私は、ゆっくりと立ち上がり、バイトの支度を始める。

バイトをやっていることは阿含には内緒だ。

大学生になったら一人暮らしがしてみたい。
だから、一年生の今のうちからお金を貯めよう。と思い立って始めたアルバイト。今でもひとり暮らしなのだが阿含がしょっちゅう家に来るので、ひとり暮らしというよりもふたり暮らしなのだ。
しかしバイトを初めて一年経った[[rb:今日 > こんにち]]、仕事にだんだん慣れてきたし、毎日パート入れても大丈夫なんじゃないかな。と、考えてはいる。阿含に昼間会わないし。

三年になって、勉強との両立ができそうだったら、毎日バイト生活、初めてみようかな。

あ、あと、阿含にバレなかったら。







着替える前に胸をサラシで潰しておく。
学業はあまり成長しなかったくせに、胸だけはどんどん成長していってしまったようで。なんともまぁ奇妙な出来上がりになってしまった。
ベリーショートに阿含とそっくりな顔。女にしては高い身長。薄っぺらい腹と尻。...だからこんな、男面にでっかい牛みたいな乳が付いていたら、豊胸手術した男だと思われてしまう。


なんてアンバランスなんだろう。


鏡に下着姿で映った自分は見事なまでに不格好で、なんだか泣けてくる。
が、こんなことで涙を流している暇はない。
そそくさと荷物をまとめ、変装用のロングヘア・ウィッグを(阿含に会ってもバレないように)かぶる。そして、やわらかい水色と白のストライプの入ったノースリーブ・シャツと一目惚れして買ってしまった濃い色のジーンズを履く。最後に友人からもらった某有名スポーツ・メーカーの白い時計をつける。鏡で確認。うーん、おかしくないはずだ。多分。急いで玄関へ向かい、履き潰したボロボロの小汚い靴────はさすがに今日の服には合わない。ので、低い白のパンプスをつっかけ、これまたボロボロの愛車(ママチャリ)へ飛び乗りバイト先へ向かった。このパンプスは母親からこの前の誕生日プレゼントにもらったものだ。なんだかんだ初めて履く。履き心地はとても良い。やはりあの人は私の母親なのだ。



 ◈  ◇  ◈



私のしているアルバイトはなんてことはない、ごくごく普通の一般的なスーパーのレジ打ちだ。
家、というか今阿含とふたりで住んでいるアパートからほどほど離れた場所にあり、まぁここになら阿含が来ることはないだろうということでここに働かせてもらうことにした。

土曜日の昼間に友だちやら彼氏やらと遊ばずに、または部活をせずバイトをする学生はなかなかに珍しいらしく、私の他にレジや品出しをしている人たちは大体四十代五十代半ばといったおばさんくらいだ。


が、例外は私以外にももう一人いる。


「雲水ちゃん!やっほ~!」
「あ...どうも、中田さん。今日シフトだったんですね」

中田さん、というのは、私よりか二つ年上の美容専門学校生。たしかに美容...というか見た目には相当こだわっているようであり、こんな寂れたスーパーのシフトでさえも[[rb:パーフェクト・フェイス > ガッツリ・メイク]]とパーフェクト・ファッションで来る。「どんな所に行くにしても身なりだけはしっかりしてないといけないのよ!」と彼女はよく言う。そして(まぁ化粧はともかくとしてだが)年が近い私にしょっちゅう抜き打ちファッション・チェックをしてくるのだ。業務中はエプロンの下にシャツを着て働く、というのが一応決まっているからいいとして、帰り、ダサい服の時一緒になってしまうと...思い出したくもない。だから、私は阿含にばったり会ってもバレないようにこういういかにもな格好をしている、というのもあるが、中田さんにファッション・チェックでまずまずの点数をもらえるように一応自分の思うまともな服装でここへ来るのだ。

「雲水ちゃん、今日何時上がり?」
「あ、えーっと、一応三時です」
「よっしゃ!同じだ!ね、ちょっとさ?私のバイトしてかない?」
「...?」
「あ!言い方が悪かったわね!あのさ、私明日メイク・アップ・テストでさ...練習したいんだけど、いつも練習台に使ってる弟は今日彼女とデートしてて無理らしくって。だからよければね!よければだよ!雲水ちゃんに時間があったらメイクさせてくれないかなーって!もちろんお金は払うから!!」
「え、私でいいんですか?」
「むしろ雲水ちゃんがいいな!すっごい前だけど、私が雲水ちゃんに無理矢理メイクした時あったじゃない!あん時私雲水ちゃんのお肌のキレイさに思わず感動しちゃって...また出来ればいいなって思ってたんだけど!どお!?」
「いや、私はかまいませんよ。というかお金もいりません」
「ほんと!?やったーーーー!!!!お金いらない?でも申し訳ないしさぁ...」
「いえ、本当に大丈夫です。いつも中田さんにはお世話になっているので」
「えーーーーーーなんだか照れるなぁ!へへ、じゃあ交通費だけ出すよ。さすがに来てもらってそれは悪いし...」
「...待ってください。えっと、どこでやるんですか」

「決まってるじゃない。私の家よ」


























どうしてこうなったーーーーー!!!!

と、思わず心の中で叫んだ。
湘南行きの電車にガタンゴトンと揺られながら私は頭を抱えた。本当にどうしてこうなった?湘南なんてえらい久しぶりに行く。


バイトが終わり、すぐ着替え、休憩する時間もなく駅まで走って([[rb:愛車 > ママチャリ]]はスーパーに置いてきた)、切符を買ってもらって...やっとゆっくり座れた。パンプスを脱ぎたい衝動に駆られながらもなんとか我慢してさっき買った緑茶を飲む。うまい。

「ごっ...ごめんね、走らせちゃって...」
「いえ、大丈夫です」
「ふぁぁ...こんなに走ったの久しぶりだよ。でも雲水ちゃん全然息切れしないね。すごいなぁ~なんか鍛えてたりする?」
「うーん、特にしてません」
「そっかぁ~じゃあ生まれ持って体力があるのね、きっと」
「いや、それはないと思います。絶対。」

そりゃあそうだ。母親の腹の中にいる時に阿含に全部持ってかれてしまったんだから。多分。いや、自分で置いてきてしまったのかもしれない。真相はわからないが。

「ずいぶんと強い肯定だね」
「ハハ、運動神経は良くなかったんです」
「んー、そうは見えないけど...」
「弟がとても良いですよ。私はどうやら全部置いてきちゃったみたいで。アイツは頭も良いんです」
「え!?弟いるの??初耳なんだけど!!いくつ下なの?」
「双子なんですよ」
「双子!!!????え!すごい!男の子と女の子の双子初めて見た!!!」
「へぇ、意外だな。中田さんならお友だちとかたくさんいそうだから。お知り合いとかにいらっしゃらないんですか?」
「いないいない!!もちろん同性同士の双子ちゃんならいるけどさ。で、どんな子なの??」
「私と顔がそっくりで、髪型が特徴的で、アメフトをやっています」
「へぇー!髪型が特徴的な雲水ちゃんそっくりの男って、なんか想像つかないな。アメフトやってるんだね」
「はい。私はアイツがやってるとこ見たことないですけど」
「仲良いの?」
「さぁ...どうなんでしょう」

本当にどうなんだろう。阿含と私ははたして仲が良いのだろうか?他を知らないからわからない。

「中田さんの弟さんとの仲は?」
「え!私?まっさか訊かれると思わなかったな。うーん、でも普通だと思う。ショッピング行ったら荷物持ちさせて、お礼にアイス奢ってあげたり。映画だってよく行くし、ゲームもたまにするわよ」
「なるほど」

ゲームやらなんやらの勝ち負けがあるものは、始める前に結果がわかっているからやらないし、買い物なんて近所のコンビニにたまに一緒に行くくらいだ。じゃあ私と阿含の仲は良くないだろうな。

それから他愛ない世間話をしてた。人が乗ったり降りたりしていくのを何回か見たあと、とうとう目的地・湘南に着いた。電車を降りるとなんとなく海の匂いがした。

「こっからちょっと歩くけどだいじょぶそ?あ、それともタクシー呼んじゃう?」
「どっちでもいいですが、私は歩きでも大丈夫ですよ」
「あ、ほんと?よし、じゃあ歩いて行こっか!」
「はい」














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2017.06.28.から書き始めて今年の四月で止まってた。かわいそう
あと何を書いてんのかわかんなくなったここで終わりかもな
タイトルも適当だあ

ごめんね

2019.09.22.

about

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