恋に敗れたその先で私は彼と出会った。私と彼は同じ色をした顔を見合わせるとお互い曖昧に笑った。

それがはじまり






彼は死んだ恋人をずっと追い続け、私は行く宛のない愛を持て余していた。私たちは出会うべくして出会ったような気がする。


「...水」

何も言わずに彼は500mlのペットボトルを私に差し出す。私もそれを黙って飲む。こんな日常がもうどのくらい続いているのだろう。

「何時」
「二時四十分だ」
「正確には?」
「一々細かいな。二時三十二分だ」
「そういう性なんだよ...三十五分に起こして」
「帰るのか?」
「もちろん」
「泊まっていけば良いのに」
「一回泊まったら何回も甘えてしまうもの」
「ずっと甘えてくれたって良い」

私はあなたとは違うんだよ

その言葉を飲み込んで私はぼんやり目を瞑った。火照った身体がまだ少し気怠い。

「もう朝まで眠ってしまえ」

とろとろと襲ってくる夢を振り払って私は起き上がる。金色の乱れた髪を搔き上げて、彼も水を飲んでいた。

「だめだ、本当に眠ってしまう」
「別に良いではないか。ここからなら君の職場にも近いだろう。それに車で送ってやっても、」
「いやいい。ハロに会いたいし」

ぴったり7を指す時計の針を見つめて私は立ち上がった。膝の関節が小気味よい音を立てる。下着を拾って履いて着けて、着てきたワンピースをまた纏う。さっき丁寧に脱がされ丁寧に畳まれたそれをまだ私は着たくはなかったが。

「じゃあまた、おやすみ」

彼は名残惜しそうに私の首元にキスを落とした。私はその寂しい人を抱きしめようか悩んでやめた。この人が求めているのは私の抱擁ではない。透明になってしまった彼女の包容だ。



ツートンカラーのワンピース、赤と白のノースリーブ。パンプスは緑、胸元にはゴールドのチェーンネックレス。奇しくもクリスマスカラーである。私は今になって気づいて赤面した。だって今はじめじめむんわり梅雨の季節だ。都合良く今日は雨は降っていなかったが。まあ誰かに会うわけでもないし別に良いのだけれど。
車に乗ってエンジンをかける。酔いを覚ますために窓を開けて車を発進させた。ああ、別に酒を飲んで酔っ払っているわけではない。おセンチな自分に酔っているのだ。さっきまで上にいた彼もきっとそれは同じだと思う。

孤独を埋め合わせるための寂しいダンシングに意味なんて無いことはもうとっくに、というか初めからわかっている。しかし今更止められない、もうどうしようもないのだ。

それは半分はやけくそで。しかしもう半分は。

私は考えるのをやめた。この答えを出してしまえば私も彼も終わってしまう。割れ落ちた卵が元にはもう戻らないように。



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シャアム♀くれ!!!!!
話が固くて読みづらすぎるもう少し滑らかに読めるようにしたいな

2020.07.25.

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